■もう閉店しようかとしていた今夜、店の前で所在なげにウロウロしている老人が二人。パンクでもして困っているのかなと思い「どうした? 」と声をかけたら「あ、あんただ」という返答が変えってきた。聞けば旧店舗の近隣住民の方。近隣ではあったものの「BONZ BROS.」という名前は知らず、しかしそれでも新店舗を探しに来たらしい。で、何しに来たのかというと「いままでどうもありがとう。」と、言いに来てくれたみたい。さらには感謝の手紙と大根と、金一封を頂いてしまった。
思えば旧店舗に引っ越した頃は、近所の方たちがパンクやカゴの取り付け、鍵の紛失などで店にやってきても「ウチはレース屋だからね」なんてカッコつけて、一般車の修理を断っていたものでした。しかしあんまりいろいろ来るものだから、いつのまにか極々一般的な整備は引き受けるようになっていたんだ。旧店舗の近くの爺ちゃん婆ちゃんはそれがよほど嬉しかったらしく、時折寄っては採れた野菜や釣った魚などを置いていってくれたものなのです。BONZのブログやギャラリーに出てきた野菜や食事風景はそういう頂きものでこしらえたご飯だった。
そんな方たちが、居なくなったBONZを探し当てて(きっと孫にネット検索でもさせて居場所をつきとめたのでしょう)、わざわざお礼を言いに来てくれたんだ。今日いらしてくれたのはその代表の二人で、金一封は近所を何軒もまわって集めてくれたものらしい。お金は返したかったのだけど、ちょっと考えて頂くことにした。ともあれどうにも…….感激。どころじゃなかったね。涙が出た。
この近辺には自転車屋もあまりないらしく、御近所さんは「これからも修理をお願いします。」といって帰っていった。新店舗は旧店舗からそう離れたわけではないから、これからも昔の御近所さんは修理に来てくれるんだろうなと思った。小松菜や枝豆や獲れたての鮎なんかを手土産に。ありがたいね。人と人のかかわりっていいね。自転車屋をやってよかったと思った。それが きょうの収穫。
そして店の照明を落として入り口のドアを開けると、あたりは今年はじめの春の匂いにつつまれていた。どうやら春が来たらしい。
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