■ここ数日、店に入ってくるお客様が皆一様に「おー! 」というものがある。以下のものである。なんというか、ほぼフルスペックに近いWEBCOのTEAM REPLICA。’76再後期〜’77前期くらいのフレームかな。
この車輌はパーツ集めから始って、けっこう時間をかけてここまでカタチになったのだけど、いまが完成直前、最後のつめの段階なのである。
で、この最後のつめが難しい。もちろん大物パーツは既に決定されているのだけど、コンプリートがカタチを成していく中で「このハブとこのリムをノビータイヤで走らせる場合、スポークは何本掛けで組む?」とか「グリップはホントに青か? 」とか「クランクはアシュタブラということになっていたけど、この感じだとCPの方が似合うんじゃない? 」「歯数は?」「ひょっとしてチェーンリングはスリーアローにするべき?? 」「ワイヤーケーブル、どう通すかね? 」「フレームの年式からして…..だろ? 」なんていうことがかなりたくさん出てくるね。
で、頭の中でのイメージは微妙に塗り替えられていく。そうでなきゃならない。 最後にそういうところをツメている車輌とそうでない車輌は、完成したあとの風情がまったく異なるものなんだ。もうまったく違う。そしてここにある車輌が纏った「風情」が、カッコイイか? そうでもないか、という部分を決めていく大きなところなんだね。これに失敗すると、せっかくの車輌がとてもニセモノ臭くなるんだ。
つまり今は、一台の、この年式のこの色のこれらのパーツを選んだWEBCO TEAM REPLICAに「風情」を纏わせるもっとも重要な作業をやっているわけ(実際は眺めているだけのことが多いけど)。それは色やカタチの合うあわないだけでなく、バランスがよければよいというわけでもなく、この車輌が持っている39年の始まりと経緯と経過と「現在」を鑑みて導き出す結果なのかな。
毎度悩むね。この部分。ちょっとした角度を変えてはじっと眺める。気になるパーツを変えてみては考え込む。あーでもないこーでもないが続く。オーナーと二人でね。そしてときに終電までそれが続く(笑)。まあ、そこがもっとも楽しいところなのだけど、「楽しい」のピークがそれじゃマズイね。だって、この車輌は完成後には持つことが、眺めることが、走ることがもっと楽しい存在にならなければならないのだから。
そうしてオーナーと年を重ねたとき、この車輌は「本物」になるってことなんだと思う。もちろん傷は付くしタイヤやグリップは減る。ベアリング類はダメになっちゃうかもしれない。けれど、そこへ向って最良でありたいよね。そういう意味では持ち主にも責任があるのかもしれないけれど。
それにしても悩むよなあ(笑)。どうしても「その先」を考えてしまう。10年先、20年先のこの車輌とオーナー。
そうしてまた、あーでもない、こーでもないが始まる。ま、それが楽しくもあるわけだけど……..。
いま、ふとBlue WEBCOから目線をずらすと、店の外は雪みたいだ。静か。通りは何も走っていない。悩むには絶好だなあ。一緒に悩みたい方(笑)は下記まで連絡ください。まだ悩む余地、あります。
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