■暗めの夜道を歩いていたら、酔っ払いの青年ふたりにすれ違いざま「でっかいおばさん」と云われた。まあ、髪は長いしキミよりはでかい。どちらかひとりが「でも美人じゃね」とつづけた。おいおい。それはおかしい。ま、でも暗闇だしね。さやさやと風吹く夜は出歩きたくなる。そういえばこんな晩、誰かが「どこかへ行こうよ。月がよくみえるところ」と話していたことを思いだした。あれはいつのことだったか。20年、いや30年前? そのときの月の色と風の匂いだけははっきりと憶えている。そして、あのときキミは若かった。店に戻ってmongooseに乗り換え、土手の内側を走って二子玉まで走り、帰りは川崎側を走ってみた。んー、なんだろ? 次から次へと記憶が蘇る。mongooseは前だけに進む。前だけにね。それがいい。あのときもこんな月だったなあ、とおもった。ギンガム・チェックの赤いシャツが視界のどこかで浮かんで消えた。風が鼻先をくすぐる。空には記憶の中の月が浮かんでる。そんな きょうの眺め 。
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