■青くあるべきがすべからく青い。根城(宿のことね)に腰をおちつけた我々が見た、眼前の青はこんなです。青というよりも瑠璃色。うぉっ、なんて思いながらも、
神津港まえ「まっちゃーれセンター」2階の食堂で刺し身定食です。メインはブリ、赤イカ、サワラ。わたしゃイカに目がなくてね。イカ旅をしたこともあるくらい。赤イカってのは味はイカなんですけど、他ではあんまり出回ることのないレア・イカなんですね。そこが嬉しい。「またひとつ、オレのイカ味記憶のコレクションが増えたぜ」という感じです。
で、いよいよ冒険。じゃなかった走ります。このクラウチング・フォルム! 51T×16Tの加速が炸裂です。玄人の走りは肩から行くんです。
引き離されます。ちょっと悔しい。
そんなこと…….どうでもいいよね。と、海が言います。
そうだった。そんなことどうでもいいからこれに乗っているんだった。OLD SCHOOL BMXって、(日常の)冒険を味わうための道具、そんなふうに思えていますよ。個人的にですが。
そう思えた途端に視界が広がります。そしてエンマ洞の洞穴で
自分の人生の言い訳を試みるのです。いろいろいろと。だって、来世のプランも考えておかなくちゃ、な年ごろなんだもの。
そのような思いの中、薄暗い中で閻魔様は不気味に嗤うのです。
いろいろ想像します。こんなところ、子供の頃に連れてこられたら泣くんだろうな。なんて思ったりします。そういう所がけっこう好きなんですが。でもってUFOは肯定派。なにつながりかわかりませんが。
ところでみなさん。話はちょっと逸れますが、こんなにも素晴らしい「青」の中を旅する我々を見て「気持ちよさそうだなあ」「爽やかだなあ」なんて思うでしょう? それは違うんです。
まったく。
この青の中でオヤジが感じているのは ” 熱 ” です。青きたおやかな熱。そして自分から出てくる水分と空気中の湿気。そこに熱せられてベタッとした潮風が吹く。つまり、どろどろベタベタしっとりが現実です。「でも夏の情景って爽やかなんだよね」「ってことは、爽やかって暑いことなんか? 」とも思えるのですが、そこには ” 活気 ” というものがありますね。その活気が、爽やかと思えるどこかと関係しているのかもしれません。オヤジはその ” 活気 ” にあやかりたい。そんなふうに思いました。
だから、
オヤジは行くのですよ。あのコーナーの先へ。それはまあ、イメージの世界の話でして
現実世界のコーナーの先は、パッと開けたと思ったら白い海岸と神津名物赤トサカノリの集荷場でした。
おっと、
見聞を広げている間にまたひき離されちゃった。
青に向う滑走路のようだよ。気持ちいいなあ。心が。
でも身体はベタベタなので神津島温泉でお昼寝です。海に面した外風呂はフルチン厳禁……..いや、何もしてないですよ。わたしが温泉に浸かり、広い心でうたた寝をしているとき、この国の天子は何か何かを述べられていたようですが。
で、「名代ところてん」のぼりにつられて
ところてん。
ビーチは昔の資生堂のTVCMのよう。
でも我々は、ところてん、んまい! です。
と、思いきや。かき氷と焼きそばまでいきます。だって温泉に入ってさっぱりしても、すぐまた「暑ちぃ暑ちぃ」なんだもの。おなかだって減るんだもの。
ですから、夕ご飯のおかずを豪華にすべく行動に出るのです。
お察しの通り
何も釣れないのですがね。
あんまりにも食べられるお魚に巡りあえないので、坂道を上ると
そこには物忌奈命神社(ものいみなのみことじんじゃ)という、ちょっとなに? という名称の神社がありました。こういうのいいね。ぽっと出くわす異空間。ロードバイクとかじゃ素通りするようなところに、とっても豊かな領域があるよ。神聖とはいわない。でも清らかだと思う。
ですから、自分も清めてみようかと。
駆り立てられてやってきた青い島の青い1日のおわりの、キラキラの夕暮れの中で。
そして根城(宿のことね)に戻って洗濯ものを干すと、その向こうになにやら大きく緑色にも光る夕暮れ。
すぐに消えてしまったのだけれど、かわりに雲間にはゴジラが出現しましたよ。わかる?
で、今日はこんなふうに島をうろちょろしました。海岸線以外の神津の道は、やたらと厳しい坂道です。
晩。夕方に捧げたお神酒はどうしてか霧散してしまいました。買い足しに出かけた物忌奈命神社の夜に、少し胸がきゅんとなりますオヤジです。だって、そこの社殿の物陰から、浴衣を着て髪を纏めた、あの日のミヨちゃんが出てきそうな気配がするんだもの。
♦前略
母さん、青い日が続きます。今日も涙が出るほど青いんです。
次の朝。朝ご飯を食べてまた寝たオヤジは、お昼過ぎに起床して神津巷へ。昨日からどうもアレが気になります。
アレって、コレです。だからといって、誰かに訊ねるとか、調べるとかじゃないんですが、何だかいつも視界の片隅にアレが見える。
ともあれ、神津港まえ「まっちゃーれセンター」2階の食堂で刺し身定食です。メインはブリ、赤イカ、サワラ。わたしゃイカに目がなくてね。
おっと。
それにしても素晴らしい再現度で昨日の様な刺し身定食が出てきました。パートのおばちゃん、中々やります。ところで「まっちゃれー」って「寄ってって!」って意味らしいよ。
そして、今日も青き日々を駆るオヤジたち。
目的は水浴びです。ここにはぴっちぴちのギャルなんかいます。高所飛び込みが横行しています。
水面下はこんな。ここでの主役は青春でした。どうしてか、それには背を向けたくなるオヤジたち。海に浸かってはみたものの、ひとりが溺れたのをきっかけにして水から上がり
島道の果てを見に。元々は島をぐるっと周遊する道だったのだそうですが、がけ崩れでこの先は通行止め。果てっていいよね。果てが無いと困るもの。で、
引き返して、阿波命神社で賽の河原のような石積みに腕組みします。それは長距離移動の予兆でした。予兆は別名 ” きまぐれ ” とも言うのでしょうが、ここから我々はどっかーんと一発….じゃなかった。ドーンと長距離かつ高所、急坂移動を遂げて、島の反対側のほとんど人が住んでいない多幸湾へ行くのです。だって逝きたいから。いやいや、行きたいから。まだ見ぬものや場所への憧れ。それがいいんだよなあ。
そうしてやってきた多幸湾は、神津島最高峰である天上山からの崩落が
海の色までも
変えてしまうほどに
強烈な青を湛えて
いたのです。
嬉しいなあ。で、この青の中は
こんな感じ。
これは多幸湾のお魚と同じような色合いで擬態したオヤジ。
道程はコレだね。線で見るとたいしたことないように思えるかもだけど、今日の移動は凄いんですよ。
こんなに高いところまで行っちゃったりしているわけですからね。 どうしてって………..それは…………….
「青を見に行く(4)」へ続く。
Please send an email inquiry to bmx@bonz-bros.com.