■そうして旅も終わりです。今日の道程はこれ。地図に落とすとコンパクトに見えますがけっこうな移動です。帰りの飛行機が18時近い最終便なものですから、のらりくらりとあちこちへ。
乗り物がBMXじゃなくなると、もはや9割9分以上の感じでいまから漁に出る地元民ですね。
これだけ海が青いと青い魚でも釣れそうなものですが、
ふっふっふっふっふ。
オヤジはそれぞれ勝手に海を釣ったり、眠ったり、眠ったり眠ったり、海を釣ったり、悶々としたりします。だーれもいない中、
カモメの視線が痛い。
そしてまた、波の音を聴きながら眠るのです。好きだなあ。こういうの。どうやってこの愉楽を伝えたらいいのだろうか。
射してくる陽の光を避けて眠り。また射す陽光を避けては眠る。三時限目の休み時間に早弁を済ませた、4時限目開始後15分の心理学の講義といった心地よさ。もうっ、どうにも雲の上なんです。 でも、お昼ご飯はちゃんと食べたい。ものですから、
神津港まえ「まっちゃーれセンター」2階の食堂で づけ丼定食です。メインはブリ。で、その真ん中に赤イカが載ってきます。赤イカというのは身は柔らかく甘味と濃厚な味わいが特徴で、刺し身でも塩辛でもよし。という感じですかね。赤イカも三度目となれば少しくらい語れます。
ご飯が終わると、また眠いんだよなあ。これが。
青いなあ。きょうも。そしてきらきら。
青い海と青い空は続くけれど、オヤジは根城で昼寝を目論んでいます。だって若者にまじってきらきらしていたら日に灼けちゃうじゃん。日に灼けたら痛いじゃん。
で、ちょっとだけ寝て帰り支度をはじめますよ。飛行機に乗るための輪行パッケージングです。本音を云うと、スクーターに乗り換えたところでこの「青を見に行く」は終わろうかとも思ったのですが、オヤジの戯れ言に「おもしろい」と意外や多くの支持をいただいたのと、これからはじまる輪行仕度の様子をお見せしたくてこの旅レポートは続いているのですね。
んで、輪行ってこうです。シンプルに言えば自転車を袋に詰めて、背負って公共の乗り物へ。なのですが、自転車を袋に詰めて自転車以外の乗り物で移動することによって、旅は無限大に広がるんですよ。あなたさえその気なら、行き先は神津島じゃなく南極大陸だっていいわけです。凄いでしょ? で、輪行の袋詰めは実際こんなふうにバラします。
まずはペダルを外し、
ステムの引き上げ棒のボルトを緩めて軽く叩き” ウス ” を落としておきます。持って行く工具を少なくしたいのなら、ここまで小さいモンキーひとつでもOKです。自転車は日ごろの整備がちゃんとされているものであることが前提ね。
続いてシートクランプを緩め、サドルとシート・ポストを抜きます。この車両の場合、ここで六角レンチが必要ですね。
ブレーキ・ワイヤーやハンドルの個定位置などはそのままに、こうしてステムを抜いてっと。
外したステムには、ハンドルバーもブレーキ・レバーもグリップも、ワイヤー・ケーブルも、走っているときと同じままに取り付けたままでいいんです。で、ワイヤー・ケーブルに折れるような曲がりを作らないようにトップ・チューブに引っかけて留めておきます。留めるのは紐でも、タイラップや、ちょっとしたベルトでもよいとおもう。こんな感じ。
わたしの輪行袋の場合、前だけ外せばよい感じなので、フロント・ホイールのアクスル・ナットを緩めて前輪を外します。
で、だいたい輪行袋の真ん中へんに自転車を置き、
ジッパーを閉じながら、なるべくあちこちに当たらないような位置にフロント・ホイールを納めます。
ジッパーを閉じ、袋全体を締め上げるベルトを使って、袋の中で自転車が暴れないようにします。
ショルダーベルトを取り付けて…..はい終わり。ここまで15分かな。簡単でしょ?
んで、こっちの輪行袋は荷物としてよりコンパクトにまとまるような仕様でして、
前後のホイールを外して、こんなふうに上下方向に長くパッキングします。タイヤはフレーム脇でマジック・テープ留めですね。ステムの引き上げボルトは緩めますが、ハンドルは外しません。
フォークを内側に向けて、ジッパーを閉じれば、
ほら、
もう終わり。
パッケージ後の大きさ感はこんな感じですね。 われわれは上に書いた工具の他、バイス・プライヤーに小さな空気入れとパンク修理道具、スペアチューブを持って行きました。WILD MANは小さなテントを持っていっても楽しいね。夏は暑いけど。
こんなふうにOLD SCHOOL BMX野郎は旅立つのです。
この後オヤジたちは飛行機の時間までまたぐっすりと眠るのですが…………..
物語は帰りの飛行場に飛びますです。
行きとは異なり、神津空港はなんか緩い。
憧れのドルニエ号にも隊列を組むこともなく、
まんまといちばん乗り。嬉しい。
空港関係者もどうしてかスキップです。
離陸。さらば青き日々よ。
帰りにしてはじめて神津島全体を見ることができました。
我が愛しの多摩川を見下ろしたら、
ひと息に調布です。やっぱドルニエ号はファンタスチックだ。
ちなみに調布飛行場はクルマを三日間留めても3,000円也。
で、店に戻って
クランクを交換しつつ、旅の相棒を組み上げたらこの旅も終わりです。あー、おもしろかった。
「あー、おもしろかった」で終わる旅。青を見に行ったオヤジたちが、この旅から得たものは何もありません。青は青いまま、ただ青く記憶に残るだけ。でもその青は見たものにしかわからない刹那の青。そういう感じがいまはたまらなく心地いい。
「ゴンドラの唄」は詩の終わりにこう言います。
心の炎 消えぬ間に
今日は再び来ぬものを
と。
だから…..旅立たなきゃ!
※ところで文中に出てくる ” 気になるアレ ” は、最後まで何なのかわかりませんでした。神津島最高峰・天上山の崩落痕であることはわかるのですが、どうして階段状なのか? 知っている方がいらしたら教えてください。気になります。そして神津島は夏もいいけど、多分、秋冬春くらいがまたいいと思う。温泉あるし、お魚も美味しそうだし。寒い時期もOLD SCHOOL BMXに乗っていたら暖かいだろうし。
です。
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