◾️夕方、駅前を通ったら、歩いている人の5割以上があちこちのホームセンターの名入りレジ袋を持っていた。理由は様々なのだろうけれど「開いている店があればとにかく入りたいわけねん」と思った。自分から出てきた「ねん」も含めて可笑しかった。人はどこかへ出かけて何か買わないと病気になってしまうのかもしれない。そして夜はひっそりの昨今である。
わたしは自転車をくみ上げる時、あるいはパーツを作ったりオーバー・ホールをするとき、開店前か深夜に、独りきりでひっそりとその作業をやることが多い。つまり最近は「ひっそり」の時間が多いのだね。これがとってもいい。なんというか「至福」という言葉がぴったりのワンダフル・タイムなのである。OLD SCHOOL BMXの佳き時代はアメリカものが多いから、NOSものでも当たり前のように狂いや造りの荒いものがある。というかすべてそうなのだ。これを丁寧に修正し仮組みしてまた修正…..ヘッドひとつ組み付けるにも、仮組み〜修正を3、4度は行うだろうか。そういうことを丁寧に慎重にマイクロ・メーターなんかを使いながら作業するのだ。そして極上のフレッシュ・グリスを封入する。ちなみにうちの販売するフレームなどは、usedでもそのまま出すことはなく、治具にかけて狂いやねじれを除去してから出荷することにしている(NOSものは組み上げる段階で修正する)。アメリカもの特有の溶接時の歪みは修正しておかないと、フレームの芯に対してホイールやクランクやフォークやなどのパーツが、み〜んな違う方向を向いてしまい良い位置に配置されないからね(わたしがつくった車両って、カチッとして見えるでしょ)。これを新品の頃から約40年も経ったいまやるのだ。そういうふうに考えると、アメリカものはアメリカにあるうちよりも日本人の手によって、本来持つ潜在性能をより発揮できるのかもしれないなあ。なんて思うのである。彼の国のものは製造は荒くとも、元来はとても考えられて(わかって)設計されていることが多いのだ。
わたしはこのような作業を、フレームを修正するとは考えず「開放(してやる)」とか「元に戻す」などと頭の中で考えているのだが。
ともあれ「ひっそり」の中で、その時代の時代感やありようを想いながらOLD SCHOOL BMXと向き合う時間はいい。ただただ「いい」。過去の時間と現在の時間が目の前で交差し、それぞれがリズムを持って元来あるべき方向へと向かうのだ。そして今宵も……..そんな きょうの眺め .
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