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Jun 12 2015

きょうの眺め(46). OLD BMX SPECIALITY,BONZ BROS.

Malcom-smith-motocross-boots■20代のころに履いたモトクロス・ブーツを引っぱり出してきて眺めている。昨日、同じものをもうひとつ手に入れたのだ。わたしのBMX後のメルクマールである、Malcom Smithの名を冠したブーツ。当時のわたしにとってこれはとっても大事な宝物だった。マルコム・スミスって、よく “BMXを語るなら” というお話のいちばんはじめに挙げられる映画「On Any Sunday」の中で、マックイーンと並んで(それ以上に)光り輝いているダート・ロード・レース界のヒーローである。
 映画の中でマルコム・スミスは、長い過酷なレースを終え、当時の普通の社会で生きるネクタイをしめた大人たちからすればどう見ても ”いい大人が、わざわざそんなに汚いカッコで死ぬかもしれないのになにを馬鹿なことやってんの” という感じの中、テレビのインタビュアーに応えて「 Fine 」と、とても嬉しそうな顔でコメントする。しかし映る映像は 身体中、顔中泥だらけ、オイルまみれ。どうしてかそれは子供のわたしが観る、最高にイカした場面だった。そこに自分のメインがある感じ。わたしはマルコム・スミスの、この「 Fine 」にやられた。
 この場面の中で「 Fine 」を訳すとしたら「いい感じだよ」くらいなところだろうか。誰よりも速く荒野を駈けぬけ、誰よりも無邪気に走る。その行為自体を楽しんでいる男がいる。それはとっても凄いことなのだ。そこでマルコム・スミスが云うのは「 Fine 」。そのひと言。本当に楽しいから、楽しいと感じることだけをやる。ただそれだけを喜ぶ。「ただそれだけ」……..そこには見たこともないような途方もない自由がある。
 そういうふうに言葉で認識したわけではないけれど、まだ若いわたしははっきりと明確に ”そういう感じ” に憧れた。マルコム・スミスは最良で普通の、自分にとって ”あたりまえ”のことだから「 Fine 」と言ったのだ。 そうしてわたしはBMXに乗った。ダート・バイクに乗った。それはきっと「 Fine 」という方向を向こうとしていたのじゃないかな。
 そうして30年以上が経ったいま、思うのは「BMXって自由だよな」だ。かつては(きっと)自由の感じをもとめてBMXに乗ったけど、いまはBMX自体に ”自由” を感じる。不思議なものだ。BMXもオートバイもだけれど、不安定な二輪であることの自由感。そして自分がその気になりさえすれば、いまこの場所からすぐにでも、すべてを置去りにして ”ここではない何処かへ” 旅立つことができる自由感。つまりは、自分次第であることの自由。そのもっともシンプルなカタチ。BMXって、そういう乗り物だ。すごいねえ。

 20代のころ宝物だったわたしのモトクロス・ブーツは、いまも同じようにわたしの宝物だ。眺めて思うのは ”人の好みって変んねえよなあ” かな。わたしはこの古びたモトクロス・ブーツをみて ”かっこいい” と、思う。それはデザインがかっこいいのか? 色のコンビネーションがいいのか? あるいはそこにある「想い」に反応してかっこいいとおもうのか? はたまたそれはかっこいいという記憶か? よく「定番もの」とか「いいものはいい」とかいうけれど ”かっこいい” ってのがまた謎だ。好みの問題とはいえ、これまた実に不思議な嗜好だよなあ。なんてことを考える きょうの眺め 。

 

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