南房総EXPEDITION (1)から
■なんだ、トウセンボしているわけじゃないじゃないか。あ、ほんとだ。この柵、イノシシ除けかな? 自転車持ってこか? …….なんてのが、謎の入り口へのオヤジの判断です。入ってみると…..
コレはやっぱりイノシシ駆除が目的の柵だよね。
でも自転車は無理そうかな。足元のニュルニュルにまずはひとコケ。歳が歳ですから足腰が少々…….。仕方ないです。で、脳裏にはさっきの蛭がよぎります。怖いなあ。オヤジの恐怖は現世の実害とあの世の苦しみだからね。こんどは草履の足が泥濘にのめり込んでぴょんぴょんもできないや。
やっとの思いでトンネルを抜けたら…..
それは別のトンネルの入り口だった。
ハハハっ、と笑いながら
もうひとつトンネルを抜けると
薮こぎでした。
しかしここは何なのか? 薮こぎとはいえ、そのあちこちにはかつてここが ”何か” であった何かが散見されます。それを侵食して猛る草木の凄まじさ。もう手足が傷だらけです。そこに蚊がやってくる。あ゛〜、そういえばこれも夏だよなあ。
しかし気になるのは脚に蛭が付いてやしないか、なのですね。
蛭のヤツ、パンツの中までは入り込んでいないだろうね。なんて考えはじめるとやたらとパンツの中が気になります。どうももぞもぞするんですよ。あそこらへんが。
と、視界は一気に開けてこんなところに出ましたよ。やっぱりただの原野じゃなかった。近くや遠くでは犬ではない、イノシシでも猫でもアヒルでもない何かが雄叫びをあげます。雄叫びを気にしながら進むとそこには…….
だ〜れもいない。意志あるものの音もない。そんな青い眺めが広がっていました。
夏の風が吹き抜けて行きます。オヤジは蛭の恐怖を忘れ、遥か遠くを眺めます。そこにあるのは過ぎてきた時代への想いか? それとも「無」か無常か? あるいはお昼ご飯のメニューなのか?(きっと)それぞれの思いを胸に、無音無言の中、何かの気配だけは…..する。
なんて、ちょっとロマンチックがよぎる中、プチ冒険をはじめる色気の無いオヤジもいたりして。極めてまとまりがない輩ですね。
でも、こんなものを発見しましたよ。イシカワのヤツです。
イシカワガエル ー わたしはこれのフィギアを持ってる程度のマニアですがね、ひょっとしたらこれは学術的境地の発見かも。だって、イシカワガエルといえば生息地域の奄美大島や沖縄では天然記念物に指定される、日本ではけっこうなレアもの蛙なんですもの。それが千葉のこんなところに! 収穫、収穫。みなさんも千葉へ行ったらイシカワを探すべし、です。
そーっと手を伸ばすと、イシカワのヤツは見事な跳躍で薮の中に消えて行きました。ぴょ〜ん、と。
無常の青を眺め、イシカワには逃げられ、別の方向へ行くと、やっぱり何かの跡だよね、なところが
こんなふうに続いています。これは広大だぞ
ぼうふらの池に頭を抱えると
見なかったことにして先へ進む我々ですね。
この感じ!
実に不気味なのであります。実際はもっと暗いからね。
何か出てきやしないかというビクビク心が満々の中。なんでこんなに絶妙のタイミングで暗い物陰の風船が揺れるのか? …..え? 風船?
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…….見なかったことにして。
かつて確かにここにあった人の営みを想い、
それがいまでもどこかに転がってやしないかと探す我らなのでありました。
こんな尊いものも今では時の経過に埋もれていましたよ。昭和かね? こんなんでいいのかな? 後ろの森では相変わらず ”何か”が不気味に鳴いています。
でもここが、かつては尊い方が行幸した、プールや池やなんかがあるところだということは判りました。それにしても広いなあ。テクテクテクテク歩きます。暑いです。強い陽射しの中誰かが「もう引き返すのは嫌だ」とひと言。………そういやそうだった。帰ることを考えていなかったよ。
オヤジはじたばたします。かなり。だっておなかが減ったんだもの。
テクテクはやがてトボトボになります。陽射しが夏です。画像にはありませんがいいかげん歩き続けたその頃。
薮こぎしなくとも外へ出られそうなトンネルを発見。
入ってみると、天井にはコウモリが…..うじゃうじゃいるなあ。
こんどは歩きやすいけれど、やっぱり不気味。いろいろあるねえ。そして出口に近づくにつれ判ったのは、ここがやっぱり封鎖された空間であったらしいことです。けっこう厳重に門扉が閉ざされ。痛そうな鉄条網が…….でも、引き返したくない我らは
突破します。オヤジはまず何よりもおなかがつっかえるのですが、引き返したくないという思いと、おなかが減った欲望はそれを可能にするのですね。
そのようなわけで、我々はたまたま迷い込んでしまったけれど、みなさんここへは入らないように。聞いた話だけど、中で鳴いていた”何か” は「きょん」らしいよ。
夏がボリュームをあげてわれらの心を加熱します。オヤジだって熱いんです。ほんのりとだけど。勝浦の街中に到着した一行はまずは地元のお稲荷さんに目礼し
名物の勝浦担々麺です。
気がつくと食べ心地がジョリジョリするほど辛いラー油を入れておりました。味はまあ、勝浦担々麺の味でした。
こんなお店
勝浦では別動、輪行組みも合流しました。旅の途中で撮った写真はこんならしい(笑)。達成感が感じられる写真ですね。
で、おなかも満ちた一行は、足元もスニーカーに履き替え、イカしたオールドスクールビーエムエックスに乗って「港町RUN」にいざ! の気分満々。
そんな中、こいつは遊びに来てまで通販対応ですわ(by:イシカワ)。さんざん仲間をまたせた揚げ句に….
何事もなかったように揚々と走り出しやがった。
でも走るって気持ちいいね。わざわざ自転車を持ってまで出かける醍醐味は必ずあるものです。レンタルサイクルなんかじゃ及びもしない、OLD SCHOOL BMXと自分との歴史がそこに刻まれるのだもの。「そこ」って心のことですよ。
漁業関係者の地帯を抜け
適当に走っていると
岬へ続く道を発見
上ります。
で、行き止まりの高台で港を見下ろしつつの証拠写真をいちまい。
たいした距離じゃありませんが、岬ON OLD SCHOOL BMXってところが格別です。
で、上って
下って
漁港ラン。
夏の風。海の匂い。空は少し曇ってきたけれど、青い海。なんだこのフリーな感じは!
ハハハ、あやしい(笑)。
けど、おもしろいねー。
そうして….
かき氷でしょ。勝浦に入ったときから目をつけてたんだよ。この店。
で、まだ明るいうちから築100年に入りますよ。
だってオヤジはこれも目的のひとつだもの。
なかはこんな。いいね。
かつお三昧です。わたしの場合、食べ終わらないうちにコクっと眠りの境地へ……みんなと旅へ出て早々に眠らないことが目標なんですが、自転車旅の夕方はどうも眠い。走って食って飲んで寝る。ま、それがひとつの境地なのですけれどね。
ところが、朝(?)の一時に起き出して、近所のコンビニで買い出し。ビールとジャーマンポテトや柿ピーやイナリでまたも食いはじめるオヤジたちなのでありました。
旅の様子は…..(すまんが)まだ続きます。
南房総EXPEDITION (3)へ。
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