■最近、ちかくの街角にはあちこちキノコがはえている。東京は雨ばかりの8月だった。雨じゃなくてもどんより曇り空の夏。だからちょっとした植え込みや樹木の根元なんかにはキノコ、きのこ。
子供の頃、いちどだけこんな夏休みがあったなあ。……それでも夏休み。子供たちは傘をさして、カッパを着て、雨に濡れないようなどこかへ出かけたものだ。雨の匂いはその夏だけの甘い記憶を持ってきた。草野球やかくれんぼとかではなく、神社やお寺の境内の軒下で、めんこや灯篭作りをやったりした。普段喋ることのない女の子なんかとママゴトをした。雨のプール・サイドで、こましゃくれた知らない女の子に「あんた、およぎがうまいからなつやすみがおわってもつきあってあげてもいいわ」と云われて駆け出した。公民館のお化け屋敷で戦慄した。変な生き物を捉まえて水槽で観察したりした。海に行っても寒くて泳げず、知らない子供たちと旅館内探検。そして布団部屋に立てこもった。その時は毎日「明日は晴れないかなあ」と思ったりしたけれど、いま思うその夏はなかなかによい。
時代が経って、今年の夏をどのように思うかはわからない。けれど、晴れていない海や山の眺めは悪くなかったし、泳ぐかわりに浸かった温泉や、そのあとのかき氷はなんだかとても懐かしいものだった。軒下で雨の滴を眺めながら食べるスイカも。
ここ何日かの東京はパキンっとは晴れないけれど雨も降らずな蒸し暑い日。夜になるとコオロギが鳴き昼はミンミンだ。しかし「今年の夏は終わったなあ」と思う。曇りのち雨の夏。それもいいじゃんね。
雨が降らない日のBONZ は忙しい。みんながいっきに集まるから(笑)。そしてアイス珈琲を買いに行った帰り道、道端のキノコを発見して秋を想う。そのような きょうの眺め . よい秋が見たいなあ。
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