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Jul 06 2018

きょうの収穫(59). OLD BMX SPECIALITY, BONZ BROS.

◾️台風が一過したらしい昼間。雨上がりの道端にこれを見つけた。suberihiyuアスファルトの隙間の、5ミリもないような隙間に這うようにして生えていた。まあ、夏になるとその様な隙間で、都会でも田んぼのあぜ道でも、実にどこででもよく見かける雑草である。ありふれた、風情も、美しさも、邪悪さもない雑草。カラカラに乾燥していても水浸しのところでも元気に蔓延る無粋なやつ。しかしわたしはこの草にはとっても思い出がある。
 思わず引き抜いて持ち帰ってしまった。どうしてって、実はこの草、なかなかに美味いのである。
 かつてわたしがいまよりも貧乏だったころ、それでも自転車旅行がやりたくて、わたしは自転車に乗って旅に出た。ランドヌーズにキャリアを取り付け、テントに飯盒、釣り竿に銛、携帯コンロと米、油、味噌、醤油だけの旅である。男って好きなことができていればそれでいいのだ。それは10代も半ばの頃の旅だったと思うが実に良い旅だった。米と味噌と醤油を食し、たまに魚を獲り、自転車旅行に興味を持った何処かの誰かに農作物をいただいたり、お魚をいただいたり。あるいはトラックのお兄さんに親子丼をご馳走していただいたり。そのころ、自転車で旅行をしている人なんて毎日半年間走っても10人も会わなかった様な気がする。そんな時代だから、自転車で旅行をしている人間を見かけるととても珍しがられ、たくさんのたくさんな方に可愛がっていただき、ご馳走していただき、いろいろな色々を見せていただいた。
 そんななか、確か鹿児島の東シナ海側を走っていたときだったと記憶しているが、風邪でどうしようもない高熱で、1日だけ一泊600円の宿に宿泊したことがある。その時の晩御飯のおかずがこの草のおひたしと、シダの天ぷら、ワカメの天ぷら、小鯵の味噌汁だったのだ。それは旅の途上毎日、米と味噌と醤油だけで生きているわたしでさえショッキングなほど、恐ろしく粗末な食事だった。極め付けはやはりこの草である(シダは天ぷらになっていたのでタラの芽くらいに見えたのだ)。だって、他のものはまだ食べ物な感じがしたのだけれど、これだけはどうみても草。どこにでも生えている、もしかしたら昨日おしっこをかけたかもしれない、いま部屋を出てその辺りを歩けばいくらでも手に入る、食用ではない、そういうもの。少なくともその時のわたしにとってはどうしようもなく無価値な雑草なのだ。
 木賃宿のおかみさんは優しい人で、風邪のわたしのごはんをお粥にしてくれた。わたしは「オェッ」となることを半ば準備しながらこの草がのったお粥を口に運んだと思う。口に入る間際に広がる匂いはまごうことなく ” 草 ” だった。もう、この段階で何かがこみ上げてくる。
 ところがこの草、口に入れてしまえば実に美味(日々、米、みそ、醤油生活をしていたその時のわたしにとってね)だったのだ。少し酸味があり、ヌルヌルというか、ネバネバしてちょうどメカブのような雰囲気といえば解りよいだろうか。だし醤油で整えられたその味は、熱に浮かされたわたしでもするすると飲み込むように食することができる。そしてなんだかその草は、ヘトヘトなわたしに新しい力を与えてくれるような気がする、そのような草だった。

 その旅はその後も秋口に警察に保護されるまで(笑)随分と長く続くのだが、わたしは旅の間中ありがたくこの草のおひたしをいただいた。草を取る→茹でる→醤油をかける→ご飯にのせて食べる である。そのような日々があった。いまでも夏、道を歩いていて視線の片隅にこの草を発見するとどうしても目で追ってしまう自分がいる。いまはその程度のつきあいだけれど、なんというか夏の始まりには毎年いちどくらい食べてみたくなる。それがきょうであった。
suberihiyu2  ちなみにきょうは、鍋がないので電気ケトルでお浸しにした。居合わせたお客さんに進呈したら「う〜、草です。苦い? 」だって。まあ、草だよね。でも二噛みくらいしたあと「あれ! でもうまいかも。食うに困ったら食べる。かなあ」ですって。

 ブログに書くにあたって名前を調べたら、この草「スベリヒユ」という草らしい。そしてやっぱり南方では食用にするらしいね。ひつこく調べていないけど、何かに効くような情報もありました。わたしの 「きょうの収穫」 お試しあれ。責任は持ちませんがね。



お問い合わせは(笑)、
03-5761-9078 or bmx@bonz-bros.com

 

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bmx@bonz-bros.com.
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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