◾️今日の夏はとても鬱陶しい。ので、河原まで散歩に出かけた。なんでもない、極くごく普通の情景が見たかったのだ。歩いて河原に向かった。もしかしたら初めて歩いて河原に行ったかも。驚いたことに店から河原まで、歩きで5分もかからなかった。こんなに近いんだ、と思った。小田急の高架下を、和泉多摩川駅を横目に日陰を選んで歩いた。「暑い」というより鬱陶しい。なんども河原散歩の恋人たちとすれ違う。ベンチで昼寝のおっちゃんがいる。最近は、おっちゃん(という自分の認識)より自分の方が年上で驚いたりするけれど。たくさんの柴犬を連れたおばちゃんが走っている。とても小さなBMXに乗った少年がいる。また恋人たちとすれ違う。多摩川に出る少し手前のニセアカシアの木で、今年初めての蝉の声を聞いた。クマゼミだった。少しのけたたましさもなく、静かに低く途切れ途切れに鳴いていた。少し安心した。
河原に出るとそこもやっぱり鬱陶しいのであった。乾いた地面、乾いた色の芝生、遠くの二子玉川、夏らしくない雲、ゆるゆると流れる薄緑の川面。サッカー少年が芝生に土煙をたてている。高架下ではクロケット・ガール。きっちりと自転車ウエアに身を包んだロード・バイクのおにいさん。たくさんの少女たちが集まってテレビ・カメラに撮られている。それを眺める人、そして並んで斜面に腰掛ける恋人たち。鬱陶しいけれど普通の光景はなかなかによかった。普通に過ぎて行く今日という一日。輝く夏というより、陽に干された、つや消しの夏の情景。でも ” 普通 “はとてもいい。普通はとても目に優しい。きっとわたしはいま何も見ていないのだ。そのような きょうの眺め.
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