◾️携帯電話が川に落ちて流れていった。
というのは冗談で、本当は洗濯機に水没させた。まあ、どのような水に浸かっても水没は水没なのであるが、こういう利器は流れていってしまう方がロマンチックだ。便器水没なんかだと少し哀しい。
まあともかく、昨日の早朝にわたしの携帯電話は水没した。で、おっさんでもこのようなものがなくなるとかなり困る。まずはお客様からの電話が取れない、メールを店外でチェックできない、ブログの更新ができない。時間がわかならい、写真が撮れない、自分の予定がわからない、お尻のポケットが少し涼しい。（残念ながら）彼女からの電話が無い。それらがもたらす作用はそわそわイライラおろおろ不安なのである。そこにある寂寞は現代人を抹殺するに相応しい虚無なのだなあ。
ところが、そこを乗り越えてしばらくするとなんともいえない自分が帰ってくることに気がついた。「帰ってくる」と言ったのは、何か懐かしい、見るべきもの、やるべきことの輪郭が携帯電話がある暮らしよりもくっきり見える世界。どこか覚えがある懐かしい感じがする ”感じ“ とでもいおうか。それはダイレクトでリアルな感じがする。またあるいは、黙して語ろう。そんな感じだ。
まあでも、わたしの個人的覚醒はともかく（笑）、携帯電話がないと今の世は人様にも迷惑がかかるのだね。そんなわけで昨日は店を開店してすぐに携帯電話屋さんに出かけて行った。電話屋さん曰く「あ、これはもうダメですね。ここの端子のところがね……もう3年使っていますし替え時かと思います」なのだとか。じゃあこれ、と選んだ電話機はどうもすぐの納品にはならないらしい。待ちが6週間だって。じゃあ（と）今のは修理することにしてその間は代替え機を使うことに。ややこしいのである。新しい電話が届くまでの間に今の電話を修理？ で、代替え機？？ あれれ？？？ ちなみに中のデータは知らぬ間にどこか雲の上に保存されているらしく、代替え機にも、新しい電話にも収納可能なのだという。
新しい携帯電話を入手するために今の携帯電話を修理。という妙な感じを得ながらも「まあいいか。ずいぶん使っているらしいし。ここらで新しくしておいても」となるのが日本人の感性（？）。新しい携帯電話を注文し、今までの電話を修理に出して、妙な赤色の代替え機を借りてきた。
借りてきた電話にはこれまで通りのアプリケーションは備わっていないから、それを装備したり、Wi-Fiの設定をやったり。（雲の上から）戻ってきた保存画像の整理をしたり……それはそれでまた忙しい。これがない世界はどうだったかな？ なんて35年くらい前を思い出しつつ、機械のために働くわたしにモヤモヤする。でももしこの十数時間の間に電話を取れなかった誰か、あるいはメールを送ったけれど返事がこないぜ、という方がいらしたらごめんなさい。
ところで、ずいぶんと小さい頃にわたしが読んだ「北風と太陽」の絵本はなんだかとても怖いイメージが残っている。特にそこに描かれた太陽の顔は、子供の読む絵本なのにかなりの不気味さだった。護岸壁に書かれた太陽の落書きを見ながらなんだかそのわけの分からぬ怖さと、携帯電話がないという懐かしさ、そしてモヤモヤが混在して去来する きょうの眺め .
と、ここまで書いてこれまで使っていた携帯電話の電源スイッチを触ったら、普通に起動するんだよなあ。これが。今年は年初めから年末まで、電気製品クライシスなわたしである。
もうひとつ、携帯電話屋さんで長時間待たされるお話はこのブログでも何度か書いたが、新しい電話を購入となると、上記のようなかなりのことをやって ”入店してから出てくるまで１時間弱“ なのね。なんでかなあ。
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