◾️今年は夏の中盤からづっとまるで梅雨どきのよう。そして寒い日々が続く東京地域だが、今日は雨、雨、晴れ、豪雨、曇り、晴れ、霧雨、土砂降り、雨、曇り、雨、な感じの空模様。台風の影響か気温はもわんと暖かく、ときおりきらめく陽光に場違いに思えるほどの音量でツクツクボウシが声音をあげる日中であった。
「海、荒れ荒れなんだろうなー(台風で)」なんて思い、雨の降らないわずかのあいだに東京湾を眺めにきた。突堤の突端に座る。……静かなのである。海はべったりと凪ぎ、油のようにぬらりとした水面だった。垂れ込める青銀色の狭間をカモメが翔んでいく。停泊している異国船籍の貨物船。水先案内船に誘導されて出ていく巨大タンカー。江戸前魚を竿釣する漁船。面白い形の作業船。どこかへ急ぐ屋形船。ときおり響く太い霧笛の音。その向こうには木更津が見える。それはまるで映画のスクリーンを観るようで、目の前の視界の中でそれぞれが何処か何処ぞへ急いでいる。何処か遠くへ向かうその感じ。いいなあ、と思った。そこにある「何処か」は、見ているこちらを置き去りにする。そして自分も何処かへ向かわなきゃな。と思わせるのだ。それが内包する躍動はなかなかのものである。黒いA320型旅客機が羽田へ向けて高度を下げた。「おしっ」と言って突堤に立ち上がる。そんな きょうの眺め .
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