■みんな、ビードを上げようぜ。BONZは整備やセッティングが得意科目なので、部品や車両のセールスだけではなく、日頃はコンプリートや整備、セッティングのお客様もかなり多い。で、はじめて持ち込まれる車両の７０パーセント近くは、持ち込まれた理由とは別にタイヤの ” ビードがあがっていない ” んだよなあ。これ、せっかくの愛車を放棄するようなことですよ。
ビードっていうのはタイヤのいちばん内法のワイヤーが仕込まれている固い部分（触るとその部分だけ金属芯が入っている）のことで、このビードとリム（ホイール）の凸部分とががっちりと組み合わさって初めてタイヤとして機能する仕組みになっている。この部分ががちっとかみ合っていないと、タイヤは円軌道で回転しないし横方向のぶれも無秩序にタイヤのあちこちに出てくるね。こういう状態だとまっすぐ走らない、ハンドリングがぶれる、パンクする、こける、止らない、タイヤのグリップ力が発揮されない、などなど、自転車が自転車として機能していないということになります。もちろん、ヘッドやBBや他の摺動部分も重要だけれど、「ビードがあがっていない」というのは根本的な自転車としての機能を放棄しているということになるんです。「ビードがあがってる」状態を具体的にいうと、タイヤのビード部がリムの耳（凸部）とがっちりかみ合っていることですかね。
で、繰り返すけれど多くのOLD BMXのビードはあがっていないね。どうしてそういうことがまかり通っているのか判らないけれど、見かけるOLD SCHOOL BMXのかなりはビードが上がっていない。そんなこと、自転車屋がやったら犯罪だと思うけど…….。まあ、この記事を読んでいる人は少なくとも「自分のために」ビードをあげましょう。それで、気持ちいい、ちゃんと走る、ちゃんと止る、まっすぐ走る。と、はじめてまともな走行性能を発揮します。
ビードが上がっているか？ 下がっているか？ の判断はとても簡単。まずは上の写真の赤い→の部分を見てください。すべてのタイヤには示したようなラインがタイヤ一周の両面に存在します。このラインが、タイヤ一周の両サイドでリムの縁よりもこの程度出ている状態が「ビードがあがっている」ということ。
一方、下の写真は同じタイヤとリムだけれど、ビードが下がっている。その証拠として青い→のまだ奥にタイヤのビード部ラインが入り込んでしまっている。赤い→で示したようなラインが見えていないでしょ？ これは一見ビードがあがっているように見えるけれど、実はあがっていない。赤い→のようなラインが見えていない限り、ビードはあがっていないんです。同じタイヤとリムでも、ビード部ラインがタイヤ一周の両サイドで見えていなければ（つまりすべてのビード部ラインが見えていなければ）、それは「ビードがあがっていない」ということです。即刻、ビードをあげましょうね。
作業として「ビードをあげる」というのはそう難しいことじゃありません。いちどタイヤの空気を抜いて（タイヤをリムから外せばなおよし）、タイヤのビード部に直接ビードワックスとかビードクリームと呼ばれる潤滑剤を塗る。昔はこの潤滑をシャンプーやリンスで代用したものだけど、いまはビードワックスというものが小分けで売られているね。間違ってもオイルやスプレーオイルで潤滑させないように。で、ワックスを塗ったら、あとはタイヤ（チューブ）に通常よりちょっと多め（5〜6キロ）の空気圧で空気を入れてやればしぜんとビードはあがってくる。ニュルニュルッとね。なかにはリム耳とビードがかみ合うときに、ちいさく「パチンッ」と音を発てるものもあるかな。まあ、ビードがあがってきた感じはわかると思う。いちどであがらなかったら、タイヤをもんだり叩いたりしてみて、とにかくビード部ラインがタイヤ全面で見えるように調えて下さい。
はいこれでビードがあがりましたよ。いちどあがったビードは、空気圧を落としても下がったりはしないから、この段階でタイヤの空気圧をいつもの状態（3〜4キロ？ ）に落とします。これがビードをあげる理由と確認、方法と手順です。
どう？ ビードがあがった自分の車両は、いつもよりちょっときちんとしているように見えるでしょう？ 気持ちいいねえ。さあ、よい気持ちで……美しい冬の街へ！
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