■日本の自転車界の伝説的存在というか、とっても有名な御大に呼び出しを食らった。昨日（正確には14日）直接電話が入って「明日の午後、家に来い」とのこと。自転車業界って、ちゃんとかかわると古式懐しきところで、けっこうな序列がある。BONZは「そんなの関係ないや」なんて思っているから平気な顔をしているけど、この世界で発言権を得るのは実はなかなかかなりなことだ。もちろんわたしはそんな人間ではない。
「怒られるのか？ 」なんて思いながら、そろりと御大の家の前に自転車を停めた。呼び鈴を押す。……出てこない。帰っちゃおうかな……玄関のドアノブを引いてみる。開いてるよ…..。
「カタンっ」と音がして、御大が現れた。わたしは朗らかに挨拶したよ。それに対し、御大は指を差して上がって座るように指示をする。怒られるのか？
椅子に座ると、テーブルの上のメモ書きにはわたしの名前と電話番号が（かなりでかでかと）書き出されていた。「え？ ホントに怒られんのか？ 問題児か？ 」。小学二年の夏の終業式で、母同伴で校長室に呼び出された事を思いだす。あのときは「絵だけは上手いんですがね…..」と言われたなあ、なんて虚ろ目をしていると、御大はおつきの人にわたしの身体サイズを計測するように指示をする。「？」。ついで、パーツは何がいいきかと訊く。「え？」。御大ともなると欧州系が贔屓なので、少し気を使って「あ、寒波ですかね。ハブは」といってみた。わたしは頭の中に「寒波」の文字を浮かべている自分に気づき、あわてて「あ、いやカンパです」と言い直した。
誰も何も言わない。ので「ストロングライトのクランクなんかもいいっすよね。美しい」「ステムはベルリですかね。3tttも。で、フリーはレジナでチェーンはセデス」「変速系はザックスになる前のユーレーかな。ドッパーかアルビーがいい。」「サドルは…イデアルといいたいところですがブルックスの70年代以前がいいです。別物ですから」「ピラーはサンプレで…..ブレーキはワイマンかな。デルリンのマファックも良いけど」「あ、でも1台にまとめるとなるとバラバラですね」「リムはスーチャンで（NISIが好きと言えなかった）」「ナベプロはタイトなのが美しいですよねえ」なんてぺらぺらと喋ってしまう。よくもこれだけすらすらと出てくるものだ。
「………………………」
で、あれよという間に帰された。……..なんなのか？
謎である。謎だけど怒られずにはすんだなあ。これはきょうの収穫なのか？ それとも収穫されたのか？
帰り際、こっそりと御大のコレクションを盗撮。どうかこのブログが発見されませんように。
……….なんなのかな？
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