◾️いい夜だね。風は無く、空気は乾燥して凍てついてはいない。
夕方、自転車回収業者がすぐ近くでトラックに自転車を積み込んでいるのを目撃した。それは古いKOS-CRUISERでひどいサビ様だが、けっこうなオリジナル度の車両。通りがかりに何年も前から見知っている車両だ。オーナーは挨拶をするくらいのご近所さんで「大事にしたほうがいいよ」とは伝えていたのだが、「手放すなら〜」とか「譲って」とかそういうことは話したことがなかった。「好きなんだな〜」と思っていたし「付き合いの長い相棒なのね」と思っていたから。でも、そのKOSは居なくなった。業者の人とオーナーに「これ、譲ってはくれないの?」と尋ねてはみたが手遅れ。行政が一度その様に動くと(回収券を発行する? )、それを除外することはできないのだそうだ。つまりそのKOSは近日中にどこかでどのようにか処理されて金属片に帰るのである。なんだかやたら寂しい気分だった。きっと狛江か調布か世田谷あたりの回収自転車置き場で、あのKOSはじっと今夜の月を眺めているのだろう。そして彼の37年の生涯もやがて終わる。う〜ん。それもいいような気がするけど、それでいいのか? という気もする。
空中には黒猫の爪のような月。穏やかだ。そんな きょうの眺め .
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